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  • 執筆者の写真showa-daigakubu

憧れの連鎖


O君が日記を読み上げた。


「生みの苦しみというのはつらい。うまく描きたいのに、うまくいかなくても疲労度合いはうまくいっている時と同じだからきつい。」


「紙をはりつけるとき、あやまって深く切りすぎてしまったとき、Rさんがすかさずサポートしてくれてうれしかった。あと、Rさんって絵が上手ですよね。自分が見ながらでなくては描けないので、うらやましい。」


私が、「R君は、地獄の特訓があって今があるんだよ」と伝えると、O君は信じられないという表情をした。


彼の許可をもらって昔話をした。

7年前の絵も見せた。


彼が当時のエピソードをスピーチしている動画も見せた。


「僕はトーマスの絵を描くことが何よりも好きです。だから、名人タイムでは絵をかきました。最初トーマスの絵を描いていて自分ではうまいと思っていましたが、1年の合宿の時に、伊藤先生にその絵が「下手だ」と言われ、ユーキャンの絵を描くように言われました。下手だといわれて傷つき怒りが込みあがってむしゃくしゃした。


好きな絵を描けないつらさをこらえつつしぶしぶやりました。こうなったら、やけくそだ。見ていろ先生! この課題を終わらせてやる。そう思って、書き続けました。頭の中で、唸り声と叫び声が入り混じった声を上げながら、鉛筆と色鉛筆を見て、走らせました。すべての課題が終わったときに、ついに終わったと思い、手がボロボロになったように感じました。


最初はうまくなかった絵も、徐々にうまくなっていき、最終的に、先生が認めるほどうまくなりました。腕があがるうちに、絵を描くことに夢中になっていきました。課題がすべて終わってから、トーマスの絵を再び描き始めると、それは前の絵とはまるで違っている絵に感じました。ここまでうまくなったのは自分でも信じられないくらいです。今の絵は確実にうまくなり、自分でも納得できるくらいきれいな絵になりました。」


「グレート!」。


この絵を見たO君の思わずこぼしたリアクションだ。


R君がにっこりと穏やかに、その昔、伊藤先生にひどくキレていた話をしてくれた。


後輩たちにとっては想像もつかないのだろう。


O君も、信じられないという表情をしていた。


先輩力。


「あこがれの連鎖」。


それが、翔和学園大学部の神髄である。


しらじらしい誉め言葉や説教などでは人間は動かない。


目の前にいる先輩たちの圧倒的な事実こそが自己変革のエネルギーとなり、よりよく生きていくためのひとつのモデルとなる。


近代日本画の巨匠横山大観の「人間ができて初めて絵ができる」という言葉を紹介した。


「まず、君たち自身が変わらなきゃ、人間が変わらなきゃ、いい作品は作れないんだ。この文化祭を通して、君たちが変わっていくのを、俺は楽しみにしている」と伝えた。


こういう時の学生たちの目が私は好きだ。


ところで、残業後(放課後)書いたO君の日記は以下の通りであった。


「今日、キャラクターを描きあげたのですが、実は、めったにないことなのです。なぜなら家にいるとだらだらしてしまい、創作活動に火がつかないのです。学園に長くいて本当に良かったです。家では、できないことをする場所だと思いました。創作活動に火がつくと絵を描くのが本当に楽しくなり、自分の好きに胸をはれるのが、本当に嬉しい」。


以下が本日の作品。


文化祭本番は、O君の作品がズラリと並びます。


乞うご期待!!!



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